海外渡航の自由について調べてみました。


海外渡航(旅行)の自由については明文の規定はありません。
しかし、憲法22条2項によって、海外移住の自由が保障されているのに、それよりも短期間の海外渡航が認められないとするのは不当です。
なので、同条同項によって海外渡航の自由も保障されるとするのが多数説・判例です。
22条1項説、13条説もあります。


22条 
1項:何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
2項:何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。


13条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。



(最判昭33・9・10)「帆足計事件」

憲法二二条二項の「外国に移住する自由」には外国へ一時旅行する自由をも含むものと解すべきであるが、外国旅行の自由といえども無制限のままに許されるものではなく、公共の福祉のために合理的な制限に服するものと解すべきである。



22条によって保障されるものですが、海外渡航には留学や海外派遣等も含むものであり、経済的自由の性質のみを有する権利ではなく、精神的自由権としての性格も有するとするのが、最近の学説らしく、意見審査基準を考えるにあたって、厳しい判断基準にするのがいい…らしいです。



前述の判例では、旅券法13条1項5号(「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者」へのパスポートの発給を拒否できるとする)の合憲性が問題となっています。


(最判昭33・9・10) 「帆足計事件」

憲法二二条二項の「外国に移住する自由」には外国へ一時旅行する自由をも含むものと解すべきであるが、外国旅行の自由といえども無制限のままに許されるものではなく、公共の福祉のために合理的な制限に服するものと解すべきである。そして旅券発給を拒否することができる場合として、旅券法一三条一項五号が「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者」と規定したのは、外国旅行の自由に対し、公共の福祉のために合理的な制限を定めたものとみることができ、所論のごとく右規定が漠然たる基準を示す無効のものであるということはできない。されば右旅券法の規定に関する所論違憲の主張は採用できない。



なお、現在では海外渡航の自由が重要な憲法上の権利であり、国際的な文化・経済・政治領域における相互理解の進展と円満な国際関係の形成という観点から、旅券発給は海外に渡航する者と旅券保持者の同一性を公に証明する公証行為であり、旅券は外国に対して当該渡航者の保護を依頼するために政府が発行する身分証明書であると解するのが有力です。
このように考えると、外務大臣の判断権は、羈束裁量となり、厳格な司法審査に服することになります。なので、判例のように、明白性の基準はとらないことになります。




パスポートが今年の4月までです。やばい!!!