解除の法的性質について調べてみました。

直接効果説と間接効果説で有名です。






直接効果説


ア 意義

 契約が解除されると、解除の直接の効果として、契約上の債権・債務は、初めにさかのぼって消滅し、その遡及効は物権的効力を生ずる。


イ 解除の効果

 契約の効力の遡及的消滅。
 解除によって、当事者は未履行債務については当然に履行の義務をまぬかれ、すでに履行した債務については給付の返還を請求しうる。


ウ 返還義務の性質

 返還義務は一種の不当利得返還義務であるが、解除の場合は原状回復義務にまで拡大されている。


エ 545条1項ただし書の意義

 解除の遡及効を制限した特則である。
 解除前の第三者には、解除権者に帰責性がないことから、第三者保護との調整として登記を要求する。
 解除後の第三者には、対抗要件として登記を要求する。


オ 545条3項の損害賠償

 債権者を保護するために、解除の遡及効の範囲に制限を加えて、債務不履行による損害賠償請求権を契約解除にもかかわらず存続させたもの。




間接効果説


ア 意義

 契約が解除されても、解除の直接の効果として契約上の債権・債務が消滅するのではなく、ただ当事者間に原状回復の債権・債務関係を発生させるにとどまり、それが履行されることによって初めて契約関係が消滅する。


イ 解除の効果

 解除は契約の効力を消滅させるものではない。
 解除によって未履行債務については履行拒絶の抗弁権を生じ、既履行のものについては新たな返還義務が生じる。


ウ 返還義務の性質

 解除による原状回復は解除特有のものであり、不当利得とは異なる独自の権利である。


エ 545条1項ただし書の意義

 解除は遡及効を有せず原状回復の債権・債務を発生させるにとどまるから、解除は第三者に何ら影響を与えない。
 545条1項は当然のことを規定した注意規定である。
 解除前の第三者、解除後の第三者ともに対抗問題として処理される。


オ 545条3項の損害賠償

 解除における損害賠償もすでに発生した債務不履行による損害賠償が存続したもの(解除に遡及効がないから)。




折衷説


ア 意義

 未履行の債務については解除の時に消滅し、既履行の債務は消滅せず、新たに返還義務を生ずる。


イ 解除の効果

 意義と同様。


ウ 返還義務の性質

 解除による原状回復は解除特有のものであり、不当利得とは異なる独自の権利である。


エ 545条1項ただし書の意義

 解除は訴就航を有せず原状回復の債権・債務を発生させるにとどまるから、解除は第三者に何ら影響を与えない。
 545条1項は当然のことを規定した注意規定である。
 解除前の第三者、解除後の第三者ともに対抗問題として処理される。


オ 545条3項の損害賠償

 解除における損害賠償もすでに発生した債務不履行による損害賠償が存続したもの(解除に遡及効がないから)。なお、信頼利益に限るとする見解もある。








通説は直接効果説です。
解除権者を契約関係から解放することに着目します。