原処分主義(行政事件訴訟法10条2項)について調べてみました。



行政事件訴訟法10条(取消しの理由の制限)
1項:取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない。
2項:処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない。


原処分の違法は原処分の取消訴訟によってのみ争われるべきであるということ。


∵裁決(行政庁の法律上の争訟に対する裁断行為、審査請求又は再審査請求に対してする裁断行為)の取消訴訟で原処分の違法も争えるとした場合(原処分主義を採用しなかった場合)、

ア 原処分の取消訴訟と裁決の取消訴訟がともに提起された場合、いずれを先に審理すべきかを決定することが難しい。
イ 裁決の取消訴訟において原処分の執行停止を命ずることは可能であるのか疑問である。
ウ 裁決の取消判決が原処分の取消の効果を有するか疑問である。




原処分主義との関係で、裁決主義も重要です。





裁決主義

 個別主義により、裁決取消訴訟のみ提起することができるとされていること。
 裁決取消訴訟において原処分の違法を主張することもできる。原処分主義の例外。

∵原処分主義が妥当するのは、「処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合」に限られるから。(行政事件訴訟法10条2項参照)









他にも、修正裁決(裁決庁が原処分庁と異なる事実認定または理由から、異なる法規を適用して内容上可分性のない原処分の同一性を保ちつつ、原処分を加重・減軽する裁決)の場合、修正裁決が新たな処分と考えた場合、原処分は消滅することになるので問題となります。





これについての判例として、




(最判昭62・4・21)

懲戒処分につき人事院の修正裁決があつた場合に、それにより懲戒権者の行つた懲戒処分(以下「原処分」という。)が一体として取り消されて消滅し、人事院において新たな内容の懲戒処分をしたものと解するのは相当でなく、修正裁決は、原処分を行つた懲戒権者の懲戒権の発動に関する意思決定を承認し、これに基づく原処分の存在を前提としたうえで、原処分の法律効果の内容を一定の限度のものに変更する効果を生ぜしめるにすぎないものであり、これにより、原処分は、当初から修正裁決による修正どおりの法律効果を伴う懲戒処分として存在していたものとみなされることになるものと解すべきである。



判例は、原処分の取消訴訟を提起すべきであり、その中で、修正後の処分に対する不服についても主張できるとしました。









原処分主義……なんかよくわかりません(笑)