訴えの客観的併合について調べてみました。


テストは終わったのですが、バイトが意外に忙しく、勉強をサボりがちです。


訴えの客観的併合とは、原告さんが1つの訴えで、はじめから数個の請求に審判を求めることをいいます。
たとえば、原告さんが売主、被告さんが買主とすると、「お金を払え」という売買代金請求権(主位請求)と、「模試売買契約が成立していないのならば、商品を返せ」という請求(副位請求)をすることです。
訴えの客観的併合のいいところは、1つの訴えで紛争が解決すれば、当事者にとって便利ですし、裁判所にとっても紛争の統一的解決ができて助かるという点です。


この訴えの客観的併合についての問題は、控訴審に登場します。


たとえば、さっきの例で、第1審が、主位請求を棄却、副位請求を認容したとします。
原告さんは、まあ商品が戻ってくるならいいかと、控訴しなかったのですが、被告さんの方が、返してたまるかと、副位請求につき控訴したとします。ここまではいいです。


しかし、控訴審はよくよく考えると、売買契約は成立している、被告はお金を払うべきだ、つまり、副位請求を棄却して、主位請求を認容することができるかが、不利益変更禁止の原則(304条、296条)との関係で問題となってしまうのです。


ちなみに、前提として、主位請求も副位請求も両方とも控訴審に移審している必要がありますが、この点は、控訴不可分の原則によって、控訴されていない主位請求の部分も、確定せずに控訴審に移審していると考えられます(確定遮断効)。


304条(第一審判決の取消し及び変更の範囲)
第一審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみ、これをすることができる。


296条(口頭弁論の範囲等)
1項:口頭弁論は、当事者が第一審判決の変更を求める限度においてのみ、これをする。
2項:当事者は、第一審における口頭弁論の結果を陳述しなければならない。


まず、判例は、主位請求を認容することには否定的なようです。


(最判昭58・3・22)

主位請求を棄却し予備的請求を認容した第1審判決に対し、第1審被告のみが控訴し、第1進原告が控訴も付帯控訴もしない場合には、主位請求に対する第1審の判断の当否は控訴審の審判の対象とはならない。


もっとも、このように考えることは、「商品を返してもらえるならいいか」と思っていた原告には、不服申立てを期待することは酷です。そこで、ちょっと修正を加えるほうが、解答が長くなるし、なんとなく考えてます、ということをアピールできます。


そもそも、不利益変更禁止の原則は、当事者に対する不意打ち防止のための原則です。
ここで、主位請求と副位請求には密接な牽連関係があるので、控訴審で、副位請求を棄却して、主位請求を認めたとしても、当事者の不意打ちとなるとまではいえません。
原告にとっても、わざわざ客観的併合のかたちで訴えた意味(どっちかは認めてほしい)がなくなってしまいます。


以上の理由から、予備的併合の場合には、不利益変更禁止の原則を弾力的に考えて、控訴審が主位請求認容の判決に変更しても、同原則に反しないと考えることができます。







明日もバイトがんばります。