合憲限定解釈、法令違憲・適用違憲

またまた忘れがちなので、書きとめておくことにしました。



合憲限定解釈
 合憲限定解釈とは、法律等の解釈として、複数の解釈が可能な場合に、法律等を限定的に解釈して、合憲性を維持する方法である。
 裁判所は、民主的基盤を有しないことから、違憲審査権の行使に当たっては、原則として消極的であるべきであり、ただ人権保障・憲法保障の必要性が高い場合には、積極的に違憲審査に踏み込むべきなので、司法消極主義に立脚する合憲限定解釈は原則として妥当といえる。
 もっとも、禁止される範囲が不明確となりうるので、国民の予測可能性の確保の観点から、問題を生じうる。
 そこで、合憲限定解釈が認められるためには、解釈の合理性はもとより、違憲部分が不当に広がらないこと、違憲部分と合憲部分が不可分でないことを要求すべきである。また、精神的自由権を規制する場合は、予測可能性の欠如の影響が極めて大きいことから、広い合憲限定解釈は認められない。



法令違憲適用違憲
 法令違憲とは、法令自体を違憲とする判断方法、適用違憲とは、法令自体ではなく、それを当該事件に適用する限りにおいて違憲とする判断方法をいう。
 適用違憲の手法も、私法消極主義に立脚するものであり、採用されてよい。もっとも、法令自体が憲法に適合的に解釈されるのが望ましいので、まず合憲限定解釈の手法が試みられるべきであり、これがなしえない場合に、適用違憲の手法が採られるべきである。
 そして、精神的自由権の規制の場合や、刑事法の場合は、人権保障・憲法保障の必要性が高いことから、法令違憲の手法が採られるべきである。



適用違憲の例としては、


ア 猿払事件第一審判決
 合憲限定解釈が不可能な場合に、違憲的に適用されようとする法令を、そのように解釈・適用される限りにおいて違憲とした。

イ 全逓プラカード事件第1審判決
 合憲限定解釈が可能であるのに、法令の執行者がそれを行わず違憲的に適用した場合に、法令をそのように解釈・適用した限りで違憲とした。

ウ 家永教科書検定訴訟における杉本判決
 教科書検定制度の合憲性を前提に、それを適用して不合格処分とした処分を違憲とした。



合憲限定解釈>>適用違憲>>>>>>>>>>>>>>>>法令違憲

こんなイメージでしょうか。
猿払事件は、公務員の政治的行為に憲法21条の解釈やLRAの基準を用いて判断したことでも有名です。