正犯なき共犯・共犯なき正犯について調べてみました。

最近、最判平成20年5月20日という判例で、自招防衛についての新しい注目判例がでました。
デ●ーズ前でたむろしていた若者におじさんが絡んできた判例(女の子の髪をひっぱったりしたおじさんの判例です)とかと比べるとおもしろいです。
ちなみにこの判例も、おじさんが当事者。
おじさんに敬意を払って(?)、「自転車おじさん判決」とでも呼んだらいいと思います。
正当防衛・過剰防衛といったら「自転車おじさん」。これからのトレンドになりそうですね(ならないか)。


ここまで、引っ張りましたが、正当防衛ではありません。
共犯をやってたときに、見知らぬ言葉を発見したから、これにしました。



正犯なき共犯=正犯は処罰されないが,共犯(教唆犯)は処罰される
ex.ヤクザの親分Xが、「おまえは指をつめろ」と、ヤクザの子分Yに言った(自傷行為を教唆)。
自傷行為者Y=正犯は不可罰

共犯なき正犯=共犯(教唆犯)は処罰されないが,正犯は処罰される
ex.ヤクザAが同じくヤクザBに、「俺の指をつめてくれ」と頼んだ。
⇒傷害を加えた者B=正犯は傷害罪



意味はなんとなくわかっても、ここからが厄介です。
共犯の諸説によって、共犯(教唆犯)を処罰するか考え方が変わります。


純粋惹起説(共犯の違法性は共犯固有のものとする説)
正犯なき共犯は肯定(Xを教唆犯として処罰する)
共犯なき正犯は肯定(Aを教唆犯として処罰しない)


修正惹起説(共犯の違法性は正犯に由来するとする説)
正犯なき共犯は否定(Xを教唆犯として処罰しない)
共犯なき正犯は否定(Aを教唆犯として処罰する)


混合惹起説(共犯の違法性は,共犯・正犯双方に由来するとする説)
正犯なき共犯は否定(Xを教唆犯として処罰しない)
共犯なき正犯は肯定(Aを教唆犯として処罰しない)


表にするとこんなかんじ↓

       正犯なき共犯(教唆者X)      共犯なき正犯(教唆者A)
純粋惹起説       処罰                 ○
修正惹起説       ○                 処罰
混合惹起説       ○                  ○

○は「教唆犯は処罰されない」ということです。
受験勉強したのに知らなかったくらいマイナー論点(論点なのかな)ですが、知らないよりいいのかな?