ロースクールな日々について書いてみました。

ロースクールに通い始めて早1ヶ月と20日。学部に足が生えたようなものかと思っていたら大きな間違い。毎日が驚きの連続です。




1.1限が早い


開始8時30分。
学部時代でしたらスカスカの教室ですが、出席も取るためか全員きちんと出席。授業時間は100分と、先生の気分次第で延長。




2.休み時間が短い


10分。先生が授業延長したときにはお手洗いにすら行けません。




3.先生が当ててくる


順番に当ててくる先生もいるのですが、いきなり当ててくる先生はどきどきです。




4.予習が大変


1教科につき3〜5時間はかかります。




5.必修ばかり


まだ2年生(既修なので1年目で2年生)だからでしょうか??
でも、クラスのみんなと仲良くなれます。




6.みんなまじめ


GWがあけたら何人かサボりだすかなと思ったのですが…うーん、みなさん立派です!!!
そして賢い!!!!




7.年齢層は様々


1番多いのは現役の人ですが、いろんな人がいらっしゃいます。





8.情報はみんなで共有


テスト対策はみんなで。
参考資料をもってる人は惜しげもなくみんなにダウンロードさせてくれます。





楽しいですが、大変な毎日です。

当事者の欠席について調べてみました。


久しぶりです。
最近本当に勉強がおろそかになってしまって、自分が嫌です。
ロー受験が終わってから、毎日どんどん法律の知識が抜けていくような気がしてなりません。





当事者の欠席とは、当事者が適法な呼び出しを受けながら、その期日に出頭しないこと、または出頭しても弁論をしないで退廷することを言います。


口頭弁論における諸原則(公開主義、双方審尋主義、口頭主義、直接主義の4つ。詳しくは→http://d.hatena.ne.jp/ayaayako/20071125/1195929086)を貫くと、訴訟手続の遅延や、出頭した片方の当事者の不利益が生ずるなど、いろいろ問題があります。なので、当事者が欠席した場合のための対策が必要となります。条文では平成8年に改正がなされました。


当事者の欠席といっても、大きく2つに分かれます。当事者の双方が欠席した場合と、片方が欠席した場合です。


まず、当事者双方が欠席した場合は、証拠調べ(183条)、判決の言い渡し(251条2項)を除いて手続きを進めることはできません。


183条(当事者不出頭の場合の取り扱い)
証拠調べは、当事者が期日に出頭しない場合においても、することができる。


251条(言渡期日)
1項:判決の言渡しは、口頭弁論の終結の日から2月以内にしなければならない。ただし、事件が複雑であるときその他特別の事情があるときは、この限りでない。
2項:判決の言渡しは、当事者が在廷しない場合においても、することができる。


訴えの取り下げとみなされることもあります。当事者が不熱心なのに、裁判所も暇じゃありませんからつきあいきれないよーというやつです。


263条(訴えの取下げの擬制)
当事者双方が、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をした場合において、1月以内に期日指定の申立てをしないときは、訴えの取下げがあったものとみなす。当事者双方が、連続して2回、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をしたときも、同様とする。


十分審理が尽くされた場合には、裁判所は判決をすることもできます。当事者の手続保障も考慮する必要はあります。


244条(終局判決)
裁判所は、当事者の双方又は一方が口頭弁論の期日に出頭せず、又は弁論をしないで退廷をした場合において、審理の現状及び当事者の訴訟追行の状況を考慮して相当と認めるときは、終局判決をすることができる。ただし、当事者の一方が口頭弁論の期日に出頭せず、又は弁論をしないで退廷をした場合には、出頭した相手方の申出があるときに限る。


当事者の片方が欠席した場合は、陳述擬制(158条、277条)がされたものとみなされます。


158条(訴状等の陳述の擬制)
原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる。


277条(続行期日における陳述の擬制)
第158条の規定は、原告又は被告が口頭弁論の続行の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしない場合について準用する。


なお、控訴審で最初にすべき口頭弁論期日でも、陳述の擬制が認められています。


297条(第一審の訴訟手続きの規定の準用)
前編第1章から第7章までの規定は、特別の定めがある場合を除き、控訴審の訴訟手続について準用する。ただし、第269条の規定は、この限りでない。


裁判所は、判決の言い渡しをすることもできますが、出席当事者からの申立てが必要です。


244条(終局判決)
裁判所は、当事者の双方又は一方が口頭弁論の期日に出頭せず、又は弁論をしないで退廷をした場合において、審理の現状及び当事者の訴訟追行の状況を考慮して相当と認めるときは、終局判決をすることができる。ただし、当事者の一方が口頭弁論の期日に出頭せず、又は弁論をしないで退廷をした場合には、出頭した相手方の申出があるときに限る。








今後はちょくちょく勉強するクセをつけたいです。

訴えの客観的併合について調べてみました。


テストは終わったのですが、バイトが意外に忙しく、勉強をサボりがちです。


訴えの客観的併合とは、原告さんが1つの訴えで、はじめから数個の請求に審判を求めることをいいます。
たとえば、原告さんが売主、被告さんが買主とすると、「お金を払え」という売買代金請求権(主位請求)と、「模試売買契約が成立していないのならば、商品を返せ」という請求(副位請求)をすることです。
訴えの客観的併合のいいところは、1つの訴えで紛争が解決すれば、当事者にとって便利ですし、裁判所にとっても紛争の統一的解決ができて助かるという点です。


この訴えの客観的併合についての問題は、控訴審に登場します。


たとえば、さっきの例で、第1審が、主位請求を棄却、副位請求を認容したとします。
原告さんは、まあ商品が戻ってくるならいいかと、控訴しなかったのですが、被告さんの方が、返してたまるかと、副位請求につき控訴したとします。ここまではいいです。


しかし、控訴審はよくよく考えると、売買契約は成立している、被告はお金を払うべきだ、つまり、副位請求を棄却して、主位請求を認容することができるかが、不利益変更禁止の原則(304条、296条)との関係で問題となってしまうのです。


ちなみに、前提として、主位請求も副位請求も両方とも控訴審に移審している必要がありますが、この点は、控訴不可分の原則によって、控訴されていない主位請求の部分も、確定せずに控訴審に移審していると考えられます(確定遮断効)。


304条(第一審判決の取消し及び変更の範囲)
第一審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみ、これをすることができる。


296条(口頭弁論の範囲等)
1項:口頭弁論は、当事者が第一審判決の変更を求める限度においてのみ、これをする。
2項:当事者は、第一審における口頭弁論の結果を陳述しなければならない。


まず、判例は、主位請求を認容することには否定的なようです。


(最判昭58・3・22)

主位請求を棄却し予備的請求を認容した第1審判決に対し、第1審被告のみが控訴し、第1進原告が控訴も付帯控訴もしない場合には、主位請求に対する第1審の判断の当否は控訴審の審判の対象とはならない。


もっとも、このように考えることは、「商品を返してもらえるならいいか」と思っていた原告には、不服申立てを期待することは酷です。そこで、ちょっと修正を加えるほうが、解答が長くなるし、なんとなく考えてます、ということをアピールできます。


そもそも、不利益変更禁止の原則は、当事者に対する不意打ち防止のための原則です。
ここで、主位請求と副位請求には密接な牽連関係があるので、控訴審で、副位請求を棄却して、主位請求を認めたとしても、当事者の不意打ちとなるとまではいえません。
原告にとっても、わざわざ客観的併合のかたちで訴えた意味(どっちかは認めてほしい)がなくなってしまいます。


以上の理由から、予備的併合の場合には、不利益変更禁止の原則を弾力的に考えて、控訴審が主位請求認容の判決に変更しても、同原則に反しないと考えることができます。







明日もバイトがんばります。

被害者について調べてみました。


テストが終わりました(∩´∀`∩)



基本書にしか載ってないような内容ですが、いろいろ新しい規定ができていて、結構大事です。


まず、検察官による基礎・不起訴の決定に当たっては、被害者の状況、被害者の処罰感情なども考慮されます(起訴便宜主義)。


248条
犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。


一定の限度で事件の通知ないし告知をすることにもなってます。


260条
検察官は、告訴、告発又は請求のあつた事件について、公訴を提起し、又はこれを提起しない処分をしたときは、速やかにその旨を告訴人、告発人又は請求人に通知しなければならない。公訴を取り消し、又は事件を他の検察庁の検察官に送致したときも、同様である。


261条
検察官は、告訴、告発又は請求のあつた事件について公訴を提起しない処分をした場合において、告訴人、告発人又は請求人の請求があるときは、速やかに告訴人、告発人又は請求人にその理由を告げなければならない。


不起訴処分が下された場合でも、検察審査会への申立て、付審判請求(262条以下)など争う道が残されています。


262条
1項:刑法第193条から第196条まで又は破壊活動防止法(昭和27年法律第240号)第45条若しくは無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(平成11年法律第147号)第42条若しくは第43条の罪について告訴又は告発をした者は、検察官の公訴を提起しない処分に不服があるときは、その検察官所属の検察庁の所在地を管轄する地方裁判所に事件を裁判所の審判に付することを請求することができる。
2項:前項の請求は、第260条の通知を受けた日から7日以内に、請求書を公訴を提起しない処分をした検察官に差し出してこれをしなければならない。


被害者に対する刑事訴訟法の規定は不十分であるため、2000年に犯罪被害者保護関連法2法(「刑事訴訟法及び検察審査会法の一部を改正する法律」、「犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」)も制定されました。
被害者を犯罪の二次被害等から守るための規定が主です。


たとえば、性犯罪の告訴期間が撤廃されたこと(235条1項1号)、証人尋問の際の証人への付き添い、ビデオリンク方式、遮蔽により証人の保護が強化されたこと(157条の2、157条の3、157条の4)、被害者等の傍聴について配慮したこと(304条の2、裁判法70条、281条)、被害者等による公判記録の閲覧・複写の範囲の拡大、公判廷において被害者等に心情などの意見の陳述をみとめたこと(292条の2)などがあります。


235条
1項:親告罪の告訴は、犯人を知つた日から6箇月を経過したときは、これをすることができない。ただし、次に掲げる告訴については、この限りでない。
一 刑法第176条から第178条まで、第225条若しくは第227条第1項(第225条の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る。)若しくは第3項の罪又はこれらの罪に係る未遂発につき行う告訴
二 刑法第232条第2項の規定により外国の代表者が行う告訴及び日本国に派遣された外国の使節に対する同法第230条又は第231条の罪につきその使敏が行う告訴
2項:刑法第229条但書の場合における告訴は、婚姻の無効又は取消の裁判が確定した日から6箇月以内にこれをしなければ、その効力がない。


157条の2
1項:裁判所は、証人を尋問する場合において、証人の年齢、心身の状態その他の事情を考慮し、証人が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは証人の供述を妨げ、又はその供述の内容に不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、その証人の供述中、証人に付き添わせることができる。
2項:前項の規定により証人に付き添うこととされた者は、その証人の供述中、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは証人の供述を妨げ、又はその供述の内容に不当な影響を与えるような言動をしてはならない。


157条の3
1項:裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、証人が被告人の面前(次条第1項に規定する方法による場合を含む。)において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であつて、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、被告人とその証人との間で、一方から又は相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。ただし、被告人から証人の状態を認識することができないようにするための措置については、弁護人が出頭している場合に限り、採ることができる。
2項:裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、名誉に対する影響その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、傍聴人とその証人との間で、相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。


157条の4
1項:裁判所は、次に掲げる者を証人として尋問する場合において、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、裁判官及び訴訟関係人が証人を尋問するために在席する場所以外の場所(これらの者が在席する場所と同一の構内に限る。)にその証人を在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、尋問することができる。
一 刑法第176条から第178条の2まで若しくは第181条の罪、同法第225条若しくは第226条の2第3項の罪(わいせつ又は結婚の目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、同法第227条第1項(第225条又は第226条の2第3項の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る。)若しくは第3項(わいせつの目的に係る部分に限る。)若しくは第241条前段の罪又はこれらの罪の未遂罪の被害者
二 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第60条第1項の罪若しくは同法第34条第1項第9号に係る同法第60条第2項の罪又は児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第4条から第8条までの罪の被害者
三 前2号に掲げる者のほか、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、裁判官及び訴訟関係人が証人を尋問するために在席する場所において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる者
2項:前項に規定する方法により証人尋問を行う場合において、裁判所は、その証人が後の刑事手続において同一の事実につき再び証人として供述を求められることがあると思料する場合であつて、証人の同意があるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その証人の尋問及び供述並びにその状況を記録媒体(映像及び音声を同時に記録することができる物をいう。以下同じ。)に記録することができる。
3項:前項の規定により証人の尋問及び供述並びにその状況を記録した記録媒体は、訴訟記録に添付して調書の一部とするものとする。


304条の2
裁判所は、証人を尋問する場合において、証人が被告人の面前(第157条の3第1項に規定する措置を採る場合及び第157条の4第1項に規定する方法による場合を含む。)においては圧迫を受け充分な供述をすることができないと認めるときは、弁護人が出頭している場合に限り、検察官及び弁護人の意見を聴き、その証人の供述中被告人を退廷させることができる。この場合には、供述終了後被告人を入廷させ、これに証言の要旨を告知し、その証人を尋問する機会を与えなければならない。


裁判所法70条(公開停止の手続)
日本国憲法第82条第2項の規定により対審を公開しないで行うには、公衆を退廷させる前に、その旨を理由とともに言い渡さなければならない。判決を言い渡すときは、再び公衆を入廷させなければならない。


281条
証人については、裁判所は、第百五十八条に掲げる事項を考慮した上、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き必要と認めるときに限り、公判期日外においてこれを尋問することができる。


292条の2
1項:裁判所は、被害者等又は当該被害者の法定代理人から、被害に関する心情その他の被告事件に関する意見の陳述の申出があるときは、公判期日において、その意見を陳述させるものとする。
2項:前項の規定による意見の陳述の申出は、あらかじめ、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。
3項:裁判長又は陪席の裁判官は、被害者等又は当該被害者の法定代理人が意見を陳述した後、その趣旨を明確にするため、これらの者に質問することができる。
4項:訴訟関係人は、被害者等又は当該被害者の法定代理人が意見を陳述した後、その趣旨を明確にするため、裁判長に告げて、これらの者に質問することができる。
5項:裁判長は、被害者等若しくは当該被害者の法定代理人の意見の陳述又は訴訟関係人の被害者等若しくは当該被害者の法定代理人に対する質問が既にした陳述若しくは質問と重複するとき、又は事件に関係のない事項にわたるときその他相当でないときは、これを制限することができる。
6項:第百五十七条の二、第百五十七条の三及び第百五十七条の四第一項の規定は、第一項の規定による意見の陳述について準用する。
7項:裁判所は、審理の状況その他の事情を考慮して、相当でないと認めるときは、意見の陳述に代え意見を記載した書面を提出させ、又は意見の陳述をさせないことができる。
8項:前項の規定により書面が提出された場合には、裁判長は、公判期日において、その旨を明らかにしなければならない。この場合において、裁判長は、相当と認めるときは、その書面を朗読し、又はその要旨を告げることができる。
9項:第一項の規定による陳述又は第七項の規定による書面は、犯罪事実の認定のための証拠とすることができない。



条文ばかりになってしまいましたが、試験前に1回、目を通しておいてよかった内容のひとつです(私立のローでぽこっとでました)。










大学最後のテストも終わってしまいました。
先生、卒業させてください。

死者を被告とする訴訟について調べてみました。


水曜・木曜のテストが一息ついたので。



1回やっておいてもついつい忘れてしまうテーマです。適当にまとめてみます。


どんな問題かというと、Aが、すでに死亡しているBに対して訴えを提起し、Bの相続人であるCが訴訟追行していたという場合、だれが被告となるかというやつです。


まず、訴状から被告が誰かみてみると、通説たる実質的表示説からは、被告はBとなります。
実質的表示説については前の日記をご参照ください。
http://d.hatena.ne.jp/ayaayako/20071106/1194360181


二当事者対立構造が生じるのは訴状が被告に到達した時です。訴状が到達することにより、訴訟が継続したことになります。


そして、訴訟継続時に当事者が実在していることは訴訟要件です。死者には当事者能力がなく(28条)、二当事者対立構造が崩れるからです。
当事者能力についても、前の日記でどうぞ。
http://d.hatena.ne.jp/ayaayako/searchdiary?word=%c5%f6%bb%f6%bc%d4%c7%bd%ce%cf


28条(原則)
当事者能力、訴訟能力及び訴訟無能力者の法定代理は、この法律に特別の定めがある場合を除き、民法 (明治二十九年法律第八十九号)その他の法令に従う。訴訟行為をするのに必要な授権についても、同様とする。


ということで、今回の訴訟は被告が死人なので訴えは却下されることとなります。このことを見過ごして本案判決がなされ確定しても、その判決は無効となります。


しかし、すでにAとCがなした訴訟行為が無駄になり、訴訟経済を害し、当事者の利益にも反します。


そこで、当事者承継(124条1項1号)の類推適用でどうにかしようとする説が有力です。


124条(訴訟手続の中断及び受継)
1項:次の各号に掲げる事由があるときは、訴訟手続は、中断する。この場合においては、それぞれ当該各号に定める者は、訴訟手続を受け継がなければならない。
一 当事者の死亡
相続人、相続財産管理人その他法令により訴訟を続行すべき者
二 当事者である法人の合併による消滅
合併によって設立された法人又は合併後存続する法人
三 当事者の訴訟能力の喪失又は法定代理人の死亡若しくは代理権の消滅
法定代理人又は訴訟能力を有するに至った当事者
四 次のイからハまでに掲げる者の信託に関する任務の終了
当該イからハまでに定める者
 イ 当事者である受託者 新たな受託者又は信託財産管理者若しくは信託財産法人管理人
ロ 当事者である信託財産管理者又は信託財産法人管理人 新たな受託者又は新たな信託財産管理者若しくは新たな信託財産法人管理人
ハ 当事者である信託管理人 受益者又は新たな信託管理人
五 一定の資格を有する者で自己の名で他人のために訴訟の当事者となるものの死亡その他の事由による資格の喪失
同一の資格を有する者
六 選定当事者の全員の死亡その他の事由による資格の喪失
選定者の全員又は新たな選定当事者


つまり、Aが訴訟代理人を選任した後、または裁判所に訴状を発送した後にBが死亡した時には、潜在的に訴訟継続が生じていたものと考えて、訴訟継続後の当事者の死亡の場合と同じように、Cが訴訟を継承できるとします。


なので、Cが新当事者となり、中断した訴訟手続は、当事者の受継申立(126条類推適用)または裁判所の執行命令(129条)により再開します。


126条(相手方による受継申立て)
訴訟手続の受継の申立ては、相手方もすることができる。


129条(職権による続行命令)
当事者が訴訟手続の受継の申立てをしない場合においても、裁判所は、職権で、訴訟手続の続行を命ずることができる。


また、このような訴訟継続が生じていなかった場合にも、相続人Cが訴状を受領し、Bの名で訴訟追行しているときは任意的当事者変更によって、当事者をCに変更し、それまでの訴訟追行の結果をCに及ぼすことができると考えます。
Cにきちんと手続保障が与えられ、当事者として表示されたBの判決を受ける権利を害することもないからです。


なお、任意的当事者変更は、新訴の提起と旧訴の取り下げがあったことと解されますが、Cによる訴訟追行があったと認められるような場合には、Cは、信義則上、従来の訴訟追行の結果を争うことはできません。Cにはきちんと手続保障が与えられているからです。


判例もあります。


事実の概要から。


「本件記録によれば、本件訴訟の経過は次のとおりである。即ち、(一)被上告人(原告)が本件訴訟の訴状を第一審裁判所に提出した日時は、昭和三七年三月一三日であり、第一審裁判所の裁判長が第一回口頭弁論期日を指定したのは、同年三月一四日である。(2)第一審裁判所が本件訴状と同三七年四月四日の第一回口頭弁論期日の呼出状とをあわせて被告たるDあてに送達手続をとつたところ同年三月二三日送達された。(3)しかし、被告たるDは、同年三月一六日死亡していたから、第一審裁判所は、右第一回口頭弁論期日を同被告の関係で開かず、口頭弁論期日をおつて指定とする旨の措置をとつた。(4)その後、同年九月一三日に、右Dの相続人たる上告人A、同B、同Cは、弁護士甲斐庸生を訴訟代理人に選任したうえ右Dの訴訟を承継する旨の申立を第一審裁判所に対してしたので、第一審裁判所は右受継を許可するとともに同三七年一〇月三日の口頭弁論期日を開いた。(5)第一審裁判所は、その後一〇回の口頭弁論期日を開き、その審理結果にもとづき、同三八年一二月三日被上告人勝訴の判決をした。そこで、上告人A、同B、同Cほか六名の共同訴訟人は、被上告人を相手方として、控訴の申立をした。(6)第二審裁判所は、右控訴の申立にもとづき、前後三回の口頭弁論期日を開き、その審理結果にもとづき、同三九年九月九日上告人らの控訴を棄却する旨の判決をした。(7)そこで、上告人A、同B、同Cほか六名は、被上告人を相手方として、上告を申し立てた。(8)前記第一、二審の訴訟においては、被告たるDの訴訟を上告人A、同B、同Cにおいて承継したことについては、右上告人三名からはもちろん、被上告人(原告)からもなんらの異議がでず、ただ被上告人の本訴請求の当否のみが争われてきた。以上の事実が認められる。」


(最判昭41・7・14)

以上の訴訟の経過にもとづいて、本件を検討するに、上告人A、同B、同Cの三名は、前記のとおり、みずから被告たるDの訴訟を承継する手続をとりこれを承継したものとして、本件訴訟の当初からなんらの異議を述べずにすべての訴訟手続を遂行し、その結果として、被上告人の本訴請求の適否について、第一、二審の判断を受けたものである。このように、第一、二審を通じてみずから進んで訴訟行為をした前記上告人三名が、いまさら本件訴訟の当事者(被告)が死者であるDであつたとしてみずからの訴訟行為の無効を主張することは、信義則のうえから許されないものと解するのが相当である。


相続人が上告審で、死者を被告とした訴訟であり不適法であるとすることは信義則に反する…当たり前のようなかんじです。







月曜にテストラスト!!!
土日は勉強がんばります!!!!!

役員等の第三者に対する責任について調べてみました。


なんだかんだで会社法が多くなってる1月。


429条(役員等の第三者に対する損害賠償責任)
1項:役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
2項:次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
一  取締役及び執行役 次に掲げる行為
イ 株式、新株予約権社債若しくは新株予約権社債を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知又は当該募集のための当該株式会社の事業その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載若しくは記録
ロ 計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書並びに臨時計算書類に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
ハ 虚偽の登記
二  会計参与 計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに会計参与報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
三  監査役及び監査委員 監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
四  会計監査人 会計監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録


430条(役員等の連帯責任)
役員等が株式会社又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の役員等も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。


(最判昭44・11・26)

商法は、株式会社の取締役の第三者に対する責任に関する規定として二六六条ノ三を置き、同条一項前段において、取締役がその職務を行なうについて悪意または重大な過失があつたときは、その取締役は第三者に対してもまた連帯して損害賠償の責に任ずる旨を定めている。もともと、会社と取締役とは委任の関係に立ち、取締役は、会社に対して受任者として善良な管理者の注意義務を負い(商法二五四条三項、民法六四四条)、また、忠実義務を負う(商法二五四条ノ二)ものとされているのであるから、取締役は、自己の任務を遂行するに当たり、会社との関係で右義務を遵守しなければならないことはいうまでもないことであるが、第三者との間ではかような関係にあるのではなく、取締役は、右義務に違反して第三者に損害を被らせたとしても、当然に損害賠償の義務を負うものではない。
 しかし、法は、株式会社が経済社会において重要な地位を占めていること、しかも株式会社の活動はその機関である取締役の職務執行に依存するものであることを考慮して、第三者保護の立場から、取締役において悪意または重大な過失により右義務に違反し、これによつて第三者に損害を被らせたときは、取締役の任務懈怠の行為と第三者の損害との間に相当の因果関係があるかぎり、会社がこれによつて損害を被つた結果、ひいて第三者に損害を生じた場合であると、直接第三者が損害を被つた場合であるとを問うことなく、当該取締役が直接に第三者に対し損害賠償の責に任ずべきことを規定したのである。
 このことは、現行法が、取締役において法令または定款に違反する行為をしたときは第三者に対し損害賠償の責に任ずる旨定めていた旧規定(昭和二五年法律第十六七号による改正前の商法二六六条二項)を改め、右取締役の責任の客観的要件については、会社に対する義務違反があれば足りるものとしてこれを拡張し、主観的要件については、重過失を要するものとするに至つた立法の沿革に徴して明らかであるばかりでなく、発起人の責任に関する商法一九三条および合名会社の清算人の責任に関する同法一三四条ノ二の諸規定と対比しても十分に首肯することができる。
 したがつて、以上のことは、取締役がその職務を行なうにつき故意または過失により直接第三者に損害を加えた場合に、一般不法行為の規定によつて、その損害を賠償する義務を負うことを妨げるものではないが、取締役の任務懈怠により損害を受けた第三者としては、その任務懈怠につき取締役の悪意または重大な過失を主張し立証しさえすれば、自己に対する加害につき故意または過失のあることを主張し立証するまでもなく、商法二六六条ノ三の規定により、取締役に対し損害の賠償を求めることができるわけであり、また、同条の規定に基づいて第三者が取締役に対し損害の賠償を求めることができるのは、取締役の第三者への加害に対する故意または過失を前提として会社自体が民法四四条の規定によつて第三者に対し損害の賠償義務を負う場合に限る必要もないわけである。
 つぎに、株式会社の代表取締役は、自己のほかに、他の代表取締役が置かれている場合、他の代表取締役は定款および取締役会の決議に基づいて、また、専決事項についてはその意思決定に基づいて、業務の執行に当たるのであつて、定款に別段の定めがないかぎり、自己と他の代表取締役との間に直接指揮監督の関係はない。しかし、もともと、代表取締役は、対外的に会社を代表し、対内的に業務全般の執行を担当する職務権限を有する機関であるから、善良な管理者の注意をもつて会社のため忠実にその職務を執行し、ひろく会社業務の全般にわたつて意を用いるべき義務を負うものであることはいうまでもない。したがつて、少なくとも、代表取締役が、他の代表取締役その他の者に会社業務の一切を任せきりとし、その業務執行に何等意を用いることなく、ついにはそれらの者の不正行為ないし任務懈怠を看過するに至るような場合には、自らもまた悪意または重大な過失により任務を怠つたものと解するのが相当である。


不法行為の要件を充たさなくてもよいというところがポイントです(法上責任説)。
なお、損害賠償債権の消滅時効は10年とされています。不法行為の3年より長いです。


(最判昭49・12・17)

「取締役の責任は、法がその責任を加重するため特に認めたものであつて、不法行為責任たる性質を有するものではないから(最高裁昭和三九年(オ)第一一七五号同四四年一一月二六日大法廷判決・民集二三巻一一号二一五〇頁)、取締役の責任については不法行為責任に関する消滅時効の特則である民法七二四条は当然に適用されるものではない。」
「また、民法七二四条が短期消滅時効を設けた趣旨は、不法行為に基づく法律関係が、通常、未知の当事者間に、予期しない偶然の事故に基づいて発生するものであるため、加害者は、損害賠償の請求を受けるかどうか、いかなる範囲まで賠償義務を負うか等が不明である結果、極めて不安定な立場におかれるので、被害者において損害及び加害者を知りながら相当の期間内に権利行使に出ないときには、損害賠償請求権が時効にかかるものとして加害者を保護することにあると解されるところ、取締役の責任は、通常、第三者と会社との間の法律関係を基礎として生ずるものであつて、取締役は、不法行為の加害者がおかれる前記のような不安定な立場に立たされるわけではないから、取締役の責任に民法七二四条を適用すべき実質的論拠はなく、したがつて、同条を商法二六六条の三第一項前段に基づく第三者の取締役に対する損害賠償請求権に類推適用する余地もない。
 そして、右損害賠償請求権の消滅時効期間については、他に特に定めた規定がないから民法一六七条一項を適用すべきである。」


取締役には他の取締役を監視する義務もありますから、監視義務を怠った取締役も損害賠償責任を負います。


(最判昭48・5・22)

株式会社の取締役会は会社の業務執行につき監査する地位にあるから、取締役会を構成する取締役は、会社に対し、取締役会に上程された事柄についてだけ監視するにとどまらず、代表取締役の業務執行一般につき、これを監視し、必要があれば、取締役会を自ら招集し、あるいは招集することを求め、取締役会を通じて業務執行が適正に行なわれるようにする職務を有するものと解すべきである。


登記簿上の取締役が責任を負うかについても判例があります。


(最判昭47・6・15)

「原審の確定した事実によれば、上告人の取締役への就任は、右会社の創立総会または株主総会の決議に基づくものではなく、まつたく名目上のものにすぎなかつたというのである。このような場合においては、上告人が同会社の取締役として登記されていても、本来は、商法二六六条ノ三第一項にいう取締役には当たらないというべきである。けだし、同条項にいう取締役とは、創立総会または株主総会において選任された取締役をいうのであつて、そのような取締役でなければ、取締役としての権利を有し、義務を負うことがないからである。
 商法一四条は、「故意又ハ過失ニ因り不実ノ事項ヲ登記シタル者ハ其ノ事項ノ不実ナルコトヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ」と規定するところ、同条にいう「不実ノ事頃ヲ登記シタル者」とは、当該登記を申請した商人(登記申請権者)をさすものと解すべきことは諭旨のいうとおりであるが、その不実の登記事項が株式会社の取締役への就任であり、かつ、その就任の登記につき取締役とされた本人が承諾を与えたのであれば、同人もまた不実の登記の出現に加功したものというべく、したがつて、同人に対する関係においても、当該事項の登記を申請した商人に対する関係におけると同様、善意の第三者を保護する必要があるから、同条の規定を類推適用して、取締役として就任の登記をされた当該本人も、同人に故意または過失があるかぎり、当該登記事項の不実なことをもつて善意の第三者に対抗することができないものと解するのを相当とする。
 上告人が前記訴外会社の取締役に就任した旨の登記につき、同人が承諾を与えたことは、前示のとおりであり、同人が右登記事項の不実であることを少なくとも過失によつて知らなかつたことは原審の適法に確定するところであるから、同人は、右登記事項の不実であること、換言すれば同人が同訴外会社の取締役でないことをもつて善意の第三者である被上告人に対抗することができず、その結果として、原審の確定した事実関係のもとにおいては、上告人は被上告人に対し同法二六六条ノ三にいう取締役としての責任を免れ得ないものというべきである。」


取締役を辞任したのに、登記のみ残っている取締役に責任を負わせるかについても判例があります。908条2項は会社に責任を問うものなので、類推適用になってます。


(最判昭62・4・16)

「株式会社の取締役を辞任した者は、辞任したにもかかわらずなお積極的に取締役として対外的又は内部的な行為をあえてした場合を除いては、辞任登記が未了であることによりその者が取締役であると信じて当該株式会社と取引した第三者に対しても、商法・・・・・・266条ノ3第1項前段[現在の1段]に基づく損害賠償責任を負わないものというべきである・・・・・・が、右の取締役を辞任した者が、登記申請権者である当該株式会社の代表者に対し、辞任登記を申請しないで不実の登記を残存させることにつき明示的に承諾を与えていたなどの特段の事情が存在する場合には、右の取締役を辞任した者は、同法14条の類推適用により、善意の第三者に対して当該株式会社の取締役でないことをもって対抗することができない結果、同法266条ノ3第1項前段にいう取締役として所定の責任を免れることはできないものと解するのが相当である。 」


908条(登記の効力)
1項:この法律の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない。登記の後であっても、第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかったときは、同様とする。
2項:故意又は過失によって不実の事項を登記した者は、その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない。








判例がたくさんあります。
さすがにテストが迫ってるので、明日からちょっと間が空きます。悔しいです(´・ω・)

株主代表訴訟について調べてみました。


きのうの続きっぽい感じです。
株主代表訴訟の手続きについては、条文に詳しく規定があります。


847条(責任追及等の訴え)
1項:六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主(第百八十九条第二項の定款の定めによりその権利を行使することができない単元未満株主を除く。)は、株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等(第四百二十三条第一項に規定する役員等をいう。以下この条において同じ。)若しくは清算人の責任を追及する訴え、第百二十条第三項の利益の返還を求める訴え又は第二百十二条第一項若しくは第二百八十五条第一項の規定による支払を求める訴え(以下この節において「責任追及等の訴え」という。)の提起を請求することができる。ただし、責任追及等の訴えが当該株主若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該株式会社に損害を加えることを目的とする場合は、この限りでない。
2項:公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主」とあるのは、「株主」とする。
3項:株式会社が第一項の規定による請求の日から六十日以内に責任追及等の訴えを提起しないときは、当該請求をした株主は、株式会社のために、責任追及等の訴えを提起することができる。
4項:株式会社は、第一項の規定による請求の日から六十日以内に責任追及等の訴えを提起しない場合において、当該請求をした株主又は同項の発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等若しくは清算人から請求を受けたときは、当該請求をした者に対し、遅滞なく、責任追及等の訴えを提起しない理由を書面その他の法務省令で定める方法により通知しなければならない。
5項:第一項及び第三項の規定にかかわらず、同項の期間の経過により株式会社に回復することができない損害が生ずるおそれがある場合には、第一項の株主は、株式会社のために、直ちに責任追及等の訴えを提起することができる。ただし、同項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
6項:第三項又は前項の責任追及等の訴えは、訴訟の目的の価額の算定については、財産権上の請求でない請求に係る訴えとみなす。
7項:株主が責任追及等の訴えを提起したときは、裁判所は、被告の申立てにより、当該株主に対し、相当の担保を立てるべきことを命ずることができる。
8項:被告が前項の申立てをするには、責任追及等の訴えの提起が悪意によるものであることを疎明しなければならない。


5項が例外規定ですね。
7項・8項は濫訴防止のための規定です。不法・不当目的訴訟も許されてはなりません。


取締役の会社に対する損害賠償責任が発生したとしても、会社を代表するものが、監査役・監査委員だと、積極的に責任追及することが若干期待できないので、株主代表訴訟は認められたものだそうです。


386条(監査役設置会社と取締役との間の訴えにおける会社の代表)
1項:第三百四十九条第四項、第三百五十三条及び第三百六十四条の規定にかかわらず、監査役設置会社が取締役(取締役であった者を含む。以下この条において同じ。)に対し、又は取締役が監査役設置会社に対して訴えを提起する場合には、当該訴えについては、監査役監査役設置会社を代表する。
2項:第三百四十九条第四項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、監査役監査役設置会社を代表する。
一  監査役設置会社が第八百四十七条第一項の訴えの提起の請求(取締役の責任を追及する訴えの提起の請求に限る。)を受ける場合
二  監査役設置会社が第八百四十九条第三項の訴訟告知(取締役の責任を追及する訴えに係るものに限る。)並びに第八百五十条第二項の規定による通知及び催告(取締役の責任を追及する訴えに係る訴訟における和解に関するものに限る。)を受ける場合


408条(委員会設置会社と執行役又は取締役との間の訴えにおける会社の代表等)
1項:第四百二十条第三項において準用する第三百四十九条第四項の規定並びに第三百五十三条及び第三百六十四条の規定にかかわらず、委員会設置会社が執行役(執行役であった者を含む。以下この条において同じ。)若しくは取締役(取締役であった者を含む。以下この条において同じ。)に対し、又は執行役若しくは取締役が委員会設置会社に対して訴えを提起する場合には、当該訴えについては、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者が委員会設置会社を代表する。
一  監査委員が当該訴えに係る訴訟の当事者である場合 取締役会が定める者(株主総会が当該訴えについて委員会設置会社を代表する者を定めた場合にあっては、その者)
二  前号に掲げる場合以外の場合 監査委員会が選定する監査委員
2項:前項の規定にかかわらず、執行役又は取締役が委員会設置会社に対して訴えを提起する場合には、監査委員(当該訴えを提起する者であるものを除く。)に対してされた訴状の送達は、当該委員会設置会社に対して効力を有する。
3項:第四百二十条第三項において準用する第三百四十九条第四項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、監査委員が委員会設置会社を代表する。
一  委員会設置会社が第八百四十七条第一項の規定による請求(執行役又は取締役の責任を追及する訴えの提起の請求に限る。)を受ける場合(当該監査委員が当該訴えに係る訴訟の相手方となる場合を除く。)
二  委員会設置会社が第八百四十九条第三項の訴訟告知(執行役又は取締役の責任を追及する訴えに係るものに限る。)並びに第八百五十条第二項の規定による通知及び催告(執行役又は取締役の責任を追及する訴えに係る訴訟における和解に関するものに限る。)を受ける場合(当該監査委員がこれらの訴えに係る訴訟の当事者である場合を除く。)


代表訴訟は、取締役のあらゆる行為が対象となります。


(大阪高裁昭54・10・30)

「ところで、商法二六七条の規定により、株主が会社のために訴をもつて追及することのできる「取締役の責任」には、取締役が法令又は定款に違反した結果生じた会社に対する損害賠償責任や会社に対する資本充実責任たけでなく、不動産所有権の真正な登記名義の回復義務も含まれると解するのが相当である。けだし、会社の取締役は選任されることによつて委任の規定に従い会社に対し善管義務ないし忠実義務を負い、取締役の会社に対する責任を追及する訴の提起は元来、取締役の善管義務ないし忠実義務の履行請求権の主体である会社のみがなしうるところであるが、とくに、第三者である株主においてもなしうることとしたゆえんのものは、取締役間の特殊な関係から会社においてかかる訴を提起することがあまり期待できず、訴提起懈怠の可能性が少なくないことにかんがみ、その結果、会社すなわち株主の利益が害されることとなるのを防止してその利益を確保することにあるところ、取締役間の特殊の関係にもとづく訴提起懈怠の可能性は、取締役が会社に対し不動産所有権の真正な登記名義の回復義務を負つている場合でも異るところはないからである。」


訴訟を提起した株主は、株式を所有している必要があります。売却とかしてしまうと、原告適格がなくなり、訴えは却下されてしまいます。
合併とかした場合は別です。明文に規定あります。


851条(株主でなくなった者の訴訟追行)
1項:責任追及等の訴えを提起した株主又は第八百四十九条第一項の規定により共同訴訟人として当該責任追及等の訴えに係る訴訟に参加した株主が当該訴訟の係属中に株主でなくなった場合であっても、次に掲げるときは、その者が、訴訟を追行することができる。
一  その者が当該株式会社の株式交換又は株式移転により当該株式会社の完全親会社(特定の株式会社の発行済株式の全部を有する株式会社その他これと同等のものとして法務省令で定める株式会社をいう。以下この条において同じ。)の株式を取得したとき。
二  その者が当該株式会社が合併により消滅する会社となる合併により、合併により設立する株式会社又は合併後存続する株式会社若しくはその完全親会社の株式を取得したとき。
2項:前項の規定は、同項第一号(この項又は次項において準用する場合を含む。)に掲げる場合において、前項の株主が同項の訴訟の係属中に当該株式会社の完全親会社の株式の株主でなくなったときについて準用する。この場合において、同項(この項又は次項において準用する場合を含む。)中「当該株式会社」とあるのは、「当該完全親会社」と読み替えるものとする。
3項:第一項の規定は、同項第二号(前項又はこの項において準用する場合を含む。)に掲げる場合において、第一項の株主が同項の訴訟の係属中に合併により設立する株式会社又は合併後存続する株式会社の株式の株主でなくなったときについて準用する。この場合において、同項(前項又はこの項において準用する場合を含む。)中「当該株式会社」とあるのは、「合併により設立する株式会社又は合併後存続する株式会社若しくはその完全親会社」と読み替えるものとする。


代表訴訟の判決の効力は会社に及びます(民訴法115条1項2号)。とすると、会社や他の株主が訴訟を改めて提起することができなくなりそうですが、訴訟参加、最新の訴えの提起は認められています。


民訴法115条(確定判決等の効力が及ぶ者の範囲)
1項:確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。
一  当事者
二  当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人
三  前二号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人
四  前三号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者
2項:前項の規定は、仮執行の宣言について準用する。


849条(訴訟参加)
1項:株主又は株式会社は、共同訴訟人として、又は当事者の一方を補助するため、責任追及等の訴えに係る訴訟に参加することができる。ただし、不当に訴訟手続を遅延させることとなるとき、又は裁判所に対し過大な事務負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。


853条(再審の訴え)
1項:責任追及等の訴えが提起された場合において、原告及び被告が共謀して責任追及等の訴えに係る訴訟の目的である株式会社の権利を害する目的をもって判決をさせたときは、株式会社又は株主は、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。
2項:前条の規定は、前項の再審の訴えについて準用する。


和解する場合もあるようですが、会社が和解の当事者でない場合は異議を述べる機会があります。


850条(和解)
1項:民事訴訟法第二百六十七条の規定は、株式会社が責任追及等の訴えに係る訴訟における和解の当事者でない場合には、当該訴訟における訴訟の目的については、適用しない。ただし、当該株式会社の承認がある場合は、この限りでない。
2項:前項に規定する場合において、裁判所は、株式会社に対し、和解の内容を通知し、かつ、当該和解に異議があるときは二週間以内に異議を述べるべき旨を催告しなければならない。
3項:株式会社が前項の期間内に書面により異議を述べなかったときは、同項の規定による通知の内容で株主が和解をすることを承認したものとみなす。
4項:第五十五条、第百二十条第五項、第四百二十四条(第四百八十六条第四項において準用する場合を含む。)、第四百六十二条第三項(同項ただし書に規定する分配可能額を超えない部分について負う義務に係る部分に限る。)、第四百六十四条第二項及び第四百六十五条第二項の規定は、責任追及等の訴えに係る訴訟における和解をする場合には、適用しない。


あと、重要な判例は、代表訴訟ではありませんが、決議の取消訴訟で追加の請求を認めなかったものがあります。代表訴訟では追加ってどうなんだろう。


(最判昭51・12・24)

株主総会決議取消しの訴えを提起した後、商法二四八条一項所定の期間経過後に新たな取消事由を追加主張することは許されないと解するのが相当である。けだし、取消しを求められた決議は、たとえ瑕疵があるとしても、取り消されるまでは一応有効のものとして取り扱われ、会社の業務は右決議を基礎に執行されるのであつて、その意味で、右規定は、瑕疵のある決議の効力を早期に明確にさせるためその取消しの訴えを提起することができる期間を決議の日から三カ月と制限するものであり、また、新たな取消事由の追加主張を時機に遅れない限り無制限に許すとすれば、会社は当該決議が取り消されるのか否かについて予測を立てることが困難となり、決議の執行が不安定になるといわざるを得ないのであつて、そのため、瑕疵のある決議の効力を早期に明確にさせるという右規定の趣旨は没却されてしまうことを考えると、右所定の期間は、決議の瑕疵の主張を制限したものと解すべきであるからである。」









疲れた(′∀`)おやすみなさい。